目次
みなさん、IT業界と聞けばどんなイメージがありますか?
- ひたすらパソコンをさわっている
- Googleのような華やかオフィス
- みんなプログラミングがバリバリ
- チームでたくさんのシステムやアプリを開発していく
- テレビで話題になる人のように高給
私が社会人になる時は、上記のようなイメージを持っていました。そのようなイメージがありましたが、新卒で1社目に入社したときは、全然違いました。入社後、未経験でSES会社へ入社したとき、イメージしていたIT業界とはかけ離れた闇を体験しました。
その実態を説明します。
体験した闇
入社初日は本社に人が誰もいない
初めての会社はSESをメインとしている会社でした。SESは客先常駐というのは知っていました。
入社初日、面接を実施したオフィスにやってきました。普通であれば、先輩・上司が迎え入れてくれるものだと期待をしていました。気合を入れて、15分くらい早めに到着しました。
しかし、会社には鍵がかかっており、誰もいませんでした。もちろん、鍵がないので入ることもできません。
始業開始数分前の、ギリギリの時間に上司がやってきました。始業時間が過ぎても、この上司だけです。
「え、この人だけ?」が最初に感じた闇です。
会社員が3桁人の会社だったのですが、大阪オフィスには誰もいませんでした。
「中に誰もいませんよ?」
入社後は業務がない
1日目の業務は、
- 会社説明や設備案内
- 自己紹介などをメールで全社員に送信
- パソコンのセットアップ
を上司から指示をうけました。しかし、これ以外にやることがありませんでした。
セットアップ後の自己紹介メールの送信後は、誰も返事をくれません。今思えば、業務中だったからとは思います。しかし、会社メールが客先常駐とはいえ、業務中に見れないのは意味がないんじゃない?と感じていました。
また、当時はたくさんのコミュニケーションツールやグループウェアが存在していました。しかし、この会社はメール以外のコミュニケーションツールがありませんでした。極端な話「おはよう!」というコミュニケーションをするのにも、件名や宛名、署名が必要なのです。さらに、私用利用(業務に関する以外)も禁止されていました。これでは帰属意識のかけれもありません。
その後、最初のセットアップなどの業務が完了すると、研修日まではすることがなく「好きにしておいて」でした。自社サービスなどあれば、それを遊ぶこともできましたが、何もないのですることがありません。
プライベートSNSの利用禁止
「プライベートでは、SNSは使わないように」と指示されました。
セキュリティが高いんだなと考え、当時は利用していたアカウント(mixiやTwitterなど)を削除しました。このご時世、マーケティングでSNSを使わないIT会社はないでしょう。使っていなければ危機感を感じるレベルです。率先して使うべきです。
しかし、この会社は禁止をしていました。ITは最先端をいくべきなのに、まるでお役所のようなかたさです。
今思い出せば違和感しかないのですが、今も禁止されているのか気になります。
社内には教育制度がない
研修は外注
上司が
「この日からは、ここの合同研修に行ってきて」
と、いいました。
合同研修の案内でした。
最初に入社した会社は、新人が数名だったので、同僚が増える感じでとても楽しみでした。翌日、合同研修に参加するため会場にきました。約3ヶ月間の研修内容でした。
「ものすごく技術を身につけて、自社でバリバリ頑張るぞ!」
と当時は気合がマックスでした。
IT会社の格差
研修ではパソコンを持ち込むということで、会社からノートパソコンを持参してきました。この研修は合同研修で、さまざまな受託会社やSES会社が合同で研修を受けました。
まずは、数十名が会社ごとにテーブルに座り、パソコンをセッティングします。
自社から借りたパソコンのスペックをみたのですが、
- 某国産パソコン中古
- メモリ: 2GB
- CPU: ペンティアムシリーズ
- HDD: 80GB〜160GB
という当時でもかなり古いパソコンでした。
しかし、周りの研修生を見ていると、
- 新品で最新の Windows / Mac
- 開発には申し分ない高スペック
- Windows / Mac の両方を支給している会社も
という格差が明確にありました。当時は隣の芝生は青く見えるという言葉の通りでした。
さらに研修生は
「これは、私専用のパソコンです」
と話してきました。
私の会社は研修後にパソコンの返却します。その理由は、研修後はすぐに現場なので、必要ないからです。羨ましいと思いながら、とりあえず研修を3ヶ月受けました。
SES企業の研修内容については、こちらの記事にまとめています。
同僚エンジニアの出荷
研修が終わり、まずは自社に戻りました。
その時、先輩が
「Aさんがやっと出荷されたな」
と言っていました。
最初は
「商品でも売れたのかな?」
と思っていました。しかし、Aさんは一緒に入社した同僚です。ここでいう出荷とは、現場が決まるということでした。先輩は、SES=人が商品=出荷という説明を先輩はしていたのです。
SESは客先常駐とは知っていましたが、開発チームや技術提供(システムエンジニアリングサービス)と思っていました。開発能力がない会社へ、チームを派遣するイメージです。まさかそんな表現をするとは思っていませんでした。
チームではなく、新人一人で客先常駐
先輩が
「Aさんは、一人で現場に言ったよ」
といいました。
一般的に、どのような業界でも新人はOJT(On-the-Job Training、オン・ザ・ジョブ・トレーニング:先輩に教えてもらいながら業務をする)をすると思っていました。さらに、入社前は、チームで開発をするというのを聞いていました。
しかし、現実は一人で客先常駐をするということでした。
「スキルがない新人を現場に一人で客先常駐しても何もできないんじゃない?」
と思っていました。
後日、Aさんは病んで、退職したというお知らせをいただきました。
先輩が未経験だった
私も、とうとう現場が決まりました。
しかも、先輩数名と一緒に開発するということで
「先輩からいっぱい教えてもらえる!」
OJTとしてチーム開発ができることに大きな期待をしていました。しかし、現実は違いました。
先輩が全員、今回のプロジェクトの技術が未経験だったのです。さらに先輩達は、メインとなるシステムエンジニア、プログラマとして参画するようでした。
唯一、その技術の勉強をしていた私の方が頼りになってしまうという状態でした。Webシステムだったのですが、先輩方はWebシステムの開発経験がありませんでした。オブジェクト指向言語も未経験だったので、クラスの作成方法から教えていました。
全員、入門書が机の上にあるのはなかなかの光景でした。
開発がまったくない長期プロジェクトもある
先輩方は業界は長い経験がありました。しかし、現場は1つだけしか経験していませんでした。さらに、独自の言語で、他の会社や現場では活かすことができない技術をずっとしてきたようでした。
ここで初めて、長年仕事をしていても、設計や開発をしない現場があるということを知りました。そのようなニッチな技術はニーズも少なく、他の現場でまったく役に立ちません。
当時は、新人で現場に常駐しましたが、必死に開発と先輩の教育をしていました。
上司の姿は、未来の自分の姿
よく
「上司の姿が未来の自分」
と言います。
それは、その会社のキャリアアップは、上司が現実だからです。そのため、上司がリッチであれば自分もリッチになります。
しかし、上司は30代半ばだったのですが、毎日がおにぎりやカップラーメンでした。
いつも
「お小遣いが足らないんだよね」
が口癖でした。
酔っ払っているときに、愚痴があったので、お小遣いの額を聞きました。なんと、新人の私のお小遣いよりも少なかったのです。家庭があると、新人以下のお小遣いになるお財布事情でした。
「私の未来もこうなるのか」
とその時危機感を感じました。初めても現場に参画してから、転職のためのアクションプランを準備し始めました。
まずはたくさんの技術を修得し、スキルアップに尽力しました。
SES会社の給料は増えない
この会社のキャリアアップ(給料)は厳しいものだと感じました。もちろん、SES会社でも給料が高い会社はたくさんあります。
では、なぜ私の会社はこれほどにまで低いのか?それは、SESは多重下請け構造となっているからでした。この仕組みを理解せずに、SES会社に入ってしまったのが、最大の失敗でした。
1社目の会社は、元請けから換算して、5〜6次請けの会社でした。ピンハネされまくりなのです。
例えば、元請けの予算が100万円で外注し、30%ずつピンハネすると想定し、計算してみましょう。
ピンハネの例
階 層 | 金 額 | 差 額 |
---|---|---|
1 | 1,000,000 | 0 |
2 | 700,000 | -300,000 |
3 | 490,000 | -510,000 |
4 | 343,000 | -657,000 |
5 | 240,100 | -759,900 |
6 | 168,070 | -831,930 |
アバウトですが、3次請けから一気に金額が下がるのがお分かりでしょうか。
上記の記事でも紹介した通り、利益がありません。そのため、社員に還元することができません。昇給したくてもできないのです。
そのため、営業側が上の階層に行かない限り、ずっと低所得のままです。
しかし、経営目線では
- 営業が楽
- 長期契約しやすい作業が多い
- 引き抜きなど禁止の契約書
- 未経験を参画させやすい
などの理由で、現場の契約を維持し続ける場合があります。そのため、SESで稼ぎたかったら、フリーランスで直契約するか、高階層のSES会社へ転職しかありません。
上記の給与明細の紹介記事を書きました。1社目と2社目でかなり差がありました。2社目は2〜3次請けのSES会社です。
元請けや1〜2次請けの会社は、もっと高給となります。入社するのであれば、そのあたりを狙いましょう。
結論
SES会社への就職や転職は、上の階層を目指せ
SES会社は、経験年数で給料が決まりません。どの階層にいるかどうかで給料が決まります。お金が欲しければ、上に行くしかありません。
しかし、上位階層は新卒高学歴やキャリア重視の会社が多いです。未経験は低階層の会社に入社する傾向があります。その状況でキャリアアップするには、1〜2年程度で、さらに上の階層へ転職するという方法が可能です。
未経験で高階層に入社するのは厳しいので、下から上がっていくキャリアアップをしましょう。
「いや、すぐに上にいきたい」
という人は、もっと修羅の道ですが、受託やベンチャーがいいでしょう。これも別記事で紹介しています。
SESは選べば最高の環境もある
「SESはやめておけ」
とはよく聞きます。
それは、SESはピラミッド構造であり、人口は下の階層が多く、ネガティブな意見が多いからです。いい情報はあまり公になく、悪い噂だけが広まりやすいのと同じですね。
SES会社でも、
- 私服でシャツや短パン、サンダルでも可能
- 無料社食完備
- モダン技術な環境
- 好きなPCを提供してもらえる
- 賞与5ヶ月以上の高給
といった優良企業は存在しています。
そのような会社にいくためには、自分がその価値のあるエンジニアになる必要があります。
「未経験だから会社でいろいろ教えて欲しい」
という姿勢では、入社は厳しいでしょう。
許されるのは新卒くらいです。日々、勉強を怠らず、インプットとアウトプットを継続し、地道に成長していく必要があります。目標を決めて、着実に日々進むことが大切です。
そうすれば、理想的なIT会社へ入社することが可能です。