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SNSでは「フリーランスになって自由な働き方をしよう」という言葉が一時期話題になった時があります。この言葉を間に受けて、新卒や中途採用での転職からの「駆け出しエンジニア」がすぐに独立していくことがありました。しかし、後悔した方も多く、その理由を紹介します。
技術力が低いため、一人で作りきることができない
品質が低く、大量の不具合によるクレームで瑕疵対応
今までは、上司がソースコードレビューをしていたので、一定の品質が担保できていました。しかし、フリーランスで独立をすると、自ら納品ということを行う必要があります。もちろん、その納品物の品質は保証しなければなりません。
経験が数年の方は、品質を担保できない方が多く、バグ多い品質になることが多いです。通常は、お客様に検収してもらい、その後にお金を払ってもらうのです。しかし、品質が低い場合、バグ対応で非常に時間がかかります。契約によりますが、支払いが遅れる場合があり、時間給にすると割りに合わない場合があります。
高品質で作れる必要がある
品質が低いソフトウェアを納品すると、次の案件が来ず、次回は営業からしなければなりません。フリーランスエンジニアは、自ら営業し、開発する必要があります。不味い飲食店には二度と行かないのと同じで、ソフトウェアもバグだらけでは仕事を二度と発注していただけません。
まずは、正社員時代に、高品質で開発できる技術力が最低限必要です。
上流工程の経験がないため、設計ができない
設計に大幅に工数がかかり過ぎてしまう
開発会社に所属する新人エンジニアは、最初は設計書通りにプログラミングやテストから担当する案件が多いです。慣れてくると、プログラミングには自信が出てきますが、この時に設計や運用もできると勘違いしてしまう場合があります。
順調に開発フェーズが進むのは、プログラミングに慣れてきたというのもありますが、設計が綺麗にできている場合ということも考えられます。むちゃくちゃな設計の場合、上手く開発することができません。いい設計の案件を担当した時、開発することは余裕だと間違えてしまいます。あくまで、その案件だけです。
独立してから設計の担当時に、アーキテクチャ(システム構成)の知識がなく、全体的な構成設計ができない方がいます。プログラミングで作るソースコードは、サーバ内のその構成で動作するものです。上流では、サーバやネットワーク、セキュリティなども提案が必要になる場合があります。その経験が全くない場合、上流で大苦戦してしまい、スケジュールの変更や誤ったやり方で仕事をしてしまうことになります。
システムは上流が大切
システムはウォーターフォールやアジャイルといった開発方法が多数あります。しかし、どれにでも大切なのは、システム全体を把握し、そのルールに則って設計をすることが大切です。プログラミングはあくまで全体の一部分なのです。
独立する前に、一度は上流工程を経験する環境で働くことをオススメします。特に、なんでもしなければいけないベンチャー企業は経験値がものすごく上昇します。
信用がないため、客先常駐案件ばかりで自由にできない
スーツ着用で客先常駐
独立後に案件を探すために、エージェントのようなサービスを利用する方がいます。しかし、経験が浅い場合はどうしても客先常駐案件(SES)が多くなってしまいます。
客先常駐は、準委任契約が多いので、請負と比較してもリスクが少ないです。ただ、自由に働きたいからという理由で独立してフリーランスとなった方には意味がありません。常駐先によっては、遠方となるため、片道1~2時間の通勤が必要となることもあります。また、スーツ必須のところも多いです。
正社員時代の方が自由だったということも
「正社員の時の方が自由だった」 by 独立した後輩
という人も少なくありません。
会社やプロジェクトによっては、コロナ対策のためにリモートワーク(在宅勤務)を導入しているところが増えています。自由に働くという意味では、会社員時代の方がよかったという声も出ています。
もちろん、技術力が高いエンジニアほど、フルリモートで働ける人が多いです。しかし、技術力や経験値が低いプログラマは、選択できる案件が限られてしまいます。発注側も、リスクとなるので、ベテランに注文したいのです。
また、会社の場合はお金をもらいながら学べることが多いため、独立する時に学べることが本当にもうないのか?今すぐ独立する必要があるか?も考えましょう。
単価が正社員時代と同じくらい
足下を見られ、低単価に
客先常駐をしていた方が独立をすると、単価が会社員時代と比較して大幅に下がってしまうエンジニアがいます。
それは
- ベテランの先輩や上司とセットによる高単価
- 会社の培ってきたブランドによる単価設定
- 属人生の高い案件や技術
の場合があります。フリーランスになった後、同単価以上で契約できるエンジニアは全員ではありません。
中には、会社員時代と比較し「4割前後下がった」という方もいます。その場合は上手くやっていかないと、会社員とあまり変わらなかったり、前述にあるリスクを加味すると、少ないかもしれません。
単価交渉や信頼してもらえる人から案件をもらう
フリーランスで独立後は、まずは知人の社長やエンジニアに挨拶をし、案件をもらうことをオススメします。人間関係は出来上がっているので、相談が比較的しやすいです。また、技術力もある程度わかっているので、依頼してくれる案件も厳選してくれます。
比較的、独立後に退職した会社から案件をもらう人もいます。まだまだ属人性が高い業界のため、退職すると困る会社がほとんどです。その時に、交渉して希望単価で契約をして案件をもらいましょう。
退職する時に、喧嘩別れする人もいますが、個人的にはオススメしません。特にこの業界は、人脈があればどこからでも声がかかるので、何かあっても助けてくれます。普段から、人間力を鍛えておきましょう。
事前準備やリサーチをしてから独立しよう
独立する前に、自分がどれくらい市場価値があるのかどうか調査する必要があります。また、案件の獲得先は、会社員時代にやっておくことも大切です。
特に、フリーランスの場合、契約して納品後の入金日までお金が入ってきません。キャッシュフローもしっかりと計算する必要があります。準備が整い次第、起業して独立しましょう。
もちろん、エンジニアとして独立するからには、技術力は必要です。日々、切磋琢磨することが大切です。